【NHKラジオ 宗教の時間 2023年度前期テキスト】
著名:鈴木大拙 願行に生きる 上 その生涯と西田幾多郎との交友
著者:竹村牧男
定価:1,080円(本体982円)2023年03月25日 発売
太田裕信『西田幾多郎の行為の哲学』ナカニシヤ出版が上梓されました。
2023年3月13日
太田裕信『西田幾多郎行為の哲学』ナカニシヤ出版、5280円
- Publication date : March 17, 2023
- Language : Japane : 226 pages
- ISBN-10 : 4779517133
帯には「後期西田哲学における「行為」の哲学への発展過程を辿り、その本質を現代の言葉で語り直しながら、その現代的意義や可能性を取り出すことを試みる」とあります。表紙の写真は西田幾多郎の書斎「骨清窟」の写真が載せられています。この写真は現在西田幾多郎記念哲学館にある「骨清窟」ではなく、移築される前の京都にあった「骨清窟」のもので貴重な写真です。
Impact, Volume 2023, Number 1 ISSN 2398-7073 (Print); ISSN 2398-7081 (Online)
Research documentation of unpublished materials of Kitaro Nishida and the process of philosophical formation
Author: Asami, Hiroshi
Source: Impact, Volume 2023, Number 1, March 2023, pp. 53-55(3)
Publisher: Science Impact Ltd
DOI: https://doi.org/10.21820/23987073.2023.1.53
Abstract
Prominent Japanese philosopher Kitaro Nishida founded the Kyoto School of philosophy and is considered the most influential Japanese philosopher of the 20th century. However, there are unrecorded works and materials with untapped potential that researcher Yuta Nakajima wanted to share with the world. Nakajima and Professor Hiroshi Asami, Ishikawa Prefectural Nursing University, Japan, are working to restore and organise recently discovered materials by Nishida. Asami is Principal Investigator on this project and is also Director of the Ishikawa NISHIDA KITARO Museum of Philosophy. He has extensive experience in this area and embarked on this research after a large number of unpublished notebooks from the home of a descendant of Kitaro Nishida were deposited at the Museum. Through this work, the researchers want to widely disseminate the philosophy of Nishida and Nishida’s materials, including unpublished materials, and in doing so, deepen the study and understanding of Nishida’s philosophy and Japanese philosophy as a whole. In one group of unpublished materials called ‘thought notebooks’, Nishida himself seems to have written down his own original thoughts and these may contain ideas that have yet to be turned into papers. Asami and Nakajima are also collaborating with curator Sachiko Yamanada. There are a total of 50 water damaged notebooks and memos that the team has been working to restore and they are now published online. Restoration involved vacuum freeze-drying and the use of SMART-GS software.
関西大学名誉教授・井上克人氏が2015年以降に公表された論稿を纏められた論文集で、詩心をもって真摯に思索に取り組んでこらえた著者の歩みの結晶です。
人智を超えた超越的次元のものといかに関わり、思索し、表現するか
詩作と哲学的思索にはともに語りえざるものを語ろうとする営みがある。本書はそれを踏まえながら、宗教哲学と比較思想の視点に立って、日本文化の深層を探り、大燈国師・西田幾多郎・鈴木大拙に見る禅の本質に迫り、徳川期古学派の古典理解をドイツ解釈学に照らし合わせ、内藤湖南の歴史認識に見る哲学的傾向をも指摘する。
目次
はじめに
第一部 詩と哲学、そして宗教
第一章 日本文化の根底にあるもの
第二章 詩の言葉と宗教的超越性
第二部 仏教における思惟と真如
第一章 正中の宗論とその背景
第二章 ゴータマ・シッダールタの思惟 ─ 比較思想論から見た一考察 ─
第三章 西田哲学における禅思想の特質
第四章 「真如随縁」の相即論に関する一考察
第五章 鈴木大拙の思想へ/思想から ― 般若即非の真如観 ―
第三部 現代のキリスト教における世俗化の問題
第一章 ハヤトロギア・エヒイェロギア・オントロギア
── 新たなキリスト教倫理へ向けて ──
第二章 現代のキリスト教における世俗化とケノーシスの問題 ─ 一つの覚書 ─
第四部 東アジア圏の文化交渉の軌跡
第一章 内藤湖南と近代の〈知〉
第二章 内藤湖南の歴史認識における哲学的背景
第三章 東アジア圏における〈もの〉と〈自然〉─ 東西比較思想的視点から ─
第四章 近世日本における古典籍理解の解釈学的問題
─ 伊藤仁斎・荻生徂徠・本居宣長・富永仲基をめぐって ─
第五部 道元禅に寄せて
第一章 絶対帰依の表現 ─ 道元禅と親鸞の他力思想 ─
第二章 道元と近代日本の哲学者 ─ 道は無窮なり ─
第三章 時の荘厳 ─ 道元の存在観 ─
第四章 道元の〈悟り〉─ 非人情への覚悟 ─
第五章 道元の哲学思想
第六部 拾遺 ─ 折々の随想から
1 風に寄せて
2 「即物具象」の淵源にさかのぼる ─「格物致知」と芭蕉の精神 ─
3 芭蕉の境涯
4 『藤沢恒夫句集』のこと
5 〈青〉をめぐる断想
貫く棒の如きもの ─ あとがきにかえて ─
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藤田正勝『西田幾多郎『善の研究』を読む』ちくま新書が刊行されました。
2022年8月19日
【第42回夏期哲学講座の公開講演】
「ソポクレス『オイディプス王』考 一つの哲学的アプローチ 」
日時:8月21日(日)14:30~16:00
講師:秋富 克哉 氏(京都工芸繊維大学教授)
会場:石川県西田幾多郎記念哲学館 哲学ホール
※受講生以外も聴講できます。 (参加費 500 円、 要申込)
日本の哲学「幻の本」を初めて確認 西田幾多郎『善の研究』原本を金大図書館が所蔵
金沢大学附属図書館、石川県西田幾多郎記念哲学館
1.概要
- 石川県西田幾多郎記念哲学館(以下「西田哲学館」)の調査により、西田幾多郎の主著『善の研究』の一部の原本(初出と推定される資料)となる資料『西田氏実在論及倫理学』を金沢大学附属図書館(以下「金大図書館」)で所蔵していることを確認した。
- この資料の所在が確認されているのは、現時点では金大図書館所蔵分のみである。
- 日本の哲学史研究者間で長年「幻の本」であった『善の研究』の原本を金大図書館が所蔵していることを知らせることは研究上意義のあることである。
- 資料『西田氏実在論及倫理学』との照合により、第四高等学校(以下「四高」)で西田の講義を受けた学生が所有していたほぼ同形態の異本『実在及道徳論』も見つかった(西田哲学館蔵)。
2.確認の経緯
- 2022年4月28日 西田哲学館 浅見洋館長から、金大図書館に『西田氏実在論及倫理学』の所蔵状況に関するレファレンス質問があり、調査を行なったところ、金大図書館 中央図書館書庫 駒井文庫に入っていることを確認した(→調査の詳細については補足資料①)。
- 駒井文庫は、元四高教員の駒井徳太郎氏旧蔵の蔵書で、1955(昭和30)年金大図書館に寄贈されたものである。駒井氏は1908(明治41)年に四高に赴任しており、その時に当時、四高の教員だった西田幾多郎と接点があったと考えられる。
3.『西田氏実在論及倫理学』について
- 日本最初の哲学書である『善の研究』(初版は1911(明治44)年)の第2編(実在)、第3篇(善)とほぼ同一内容の資料(→図1、図2)。
- 総ページ数:141p 大きさ:23cm
- 奥付はなく、正確な出版印刷年は不詳だが、『善の研究』の原本(初出と推定される資料)と言われてきたもの。
- 四高での西田の「倫理」講義を1906(明治39)年9月開始の年度に受講した四高学生、小笠原秀美(『北辰会雑誌』編集者)と河合良成(三々塾塾生、リーダー格の学生)が試験のために印刷した『実在論』、『倫理学』を、のちに合本して印刷したのもの。
- 『倫理学』、『西田氏実在論及倫理学』の実物を見たとする研究者の証言は残されているものの、現在の研究者で実物を見た人はいなかった。
4.『善の研究』の成立の経緯と初出について
- 『善の研究』は、雑誌に公表された論文と四高での講義ノートを基にした印刷物とを合わせて刊行されたものである。
- 『善の研究』各編の初出は次のとおりである。
第1編「純粋経験」の初出
西田幾多郎(1908)「純粋経験と思惟及意思(未完)」北辰会雑誌第51号及び52号の付録, pp.1-18、19-33(1908年6月22日、24日発行)
第2編「実在」、3編「善」の初出
西田の四高での講義ノートを四高の学生が印刷・製本した冊子(いくつか異本があり、今回、金大図書館で所在が確認された『西田氏実在論及倫理学』もその1つ)
第4編「宗教」の初出
第1-3章 西田幾多郎(1909)「宗教に就て」丁酉倫理會倫理講演集 第80輯,pp.48-72
第4章 西田幾多郎(1909)「神と世界」丁酉倫理會倫理講演集 第82輯,pp.65-73
第5章 西田幾多郎(1907)「知と愛」精神界 7巻8号,pp.13-15
- 第2編、第3編の初出と推定される資料について(→詳細は補足資料②参照)
- 第2編、第3編の初出は、上記のとおりだが、印刷に関わった小笠原秀美や学生のリーダー格であった河合良成の証言、西田の日記での記述、後の研究者(下村寅太郎や茅野良男など)の報告によれば、印刷されたものには『実在』『倫理』、そして『西田氏実在論及倫理学』があり、1906~1907年に印刷されたと推定される。
- 『西田氏実在論及倫理学』より先に印刷されたと考えられる『実在』、『倫理学』については、現在、実物確認、所在確認はできない
- その他、西田哲学館で確認された、西田幾次(ママ)郎『実在論及道徳論』は、『西田氏実在論及倫理学』とほぼ同様の冊子(内容、頁付がほぼ一致)であり、『西田氏実在論及倫理学』は、その訂正版と推定される。ただし、製本されたのはかなり後年と考えられる。
- その他、いくつか先行する報告はあるが、それらの関係や内容の差異、1911年に刊された『善の研究』との関係は確認するすべがない。
5.『西田氏実在論及道徳倫理学』の所蔵の確認についてのコメント
(1)金沢大学附属図書館長 岩見 雅史
日本最初の哲学書であり,日本哲学の座標軸とも言われる『善の研究』は、西田幾多郎が京都帝国大学に助教授として移った翌年,1911年に彼が40歳の時刊行された本です。
今回確認された資料では,『善の研究』が,教鞭をとっていた旧制第四高等学校で学生,なかでもその後著名になる河合良成らの逸材に対して語られ,その難解な思想を学生が必死で理解しようとしていたことを示す物的な証拠です。
今回の発見は,『善の研究』の構想が,彼が30歳台の最も充実していたと思われる時代に四高で考えられたことを端的に示しています。また,彼が12歳から過ごした金沢の地が育んだ哲学と言っても良いのではないかと思います。
金沢大学の源流は日本哲学の座標軸の1つの原点とも言えるのではないかと,今回の発見を喜んでいます。同時に,四高の伝統を受け継ぐ,金沢大学ならではの貴重書として,今後も大切に保管します。
(2)石川県西田幾多郎記念哲学館長 浅見 洋
『善の研究』(1911年)の「初出」、ないしは「原本」が第四高等学校における西田幾多郎の「倫理」講義を、当時の学生が印刷に付したものであるというのは、西田哲学研究者の間では一般化した理解である。しかし、過去にそうした「初出」とされる印刷物について記した研究者(下村寅太郎、茅野良男など)はいるが、現存の研究者でその現物を見た人はいない。
そこで、西田幾多郎記念哲学館の浅見と中嶋は「初出」の一つである『西田氏実在論及倫理学』について記している故茅野良男氏の蔵書を管理している大分県豊後竹田の市立図書館を訪ね、資料調査をおこなった。膨大な資料に悪戦苦闘しながら、ようやく見つけ出したのが『西田氏実在論及倫理学』のコピーであり、その扉には金沢大学の蔵書印が押されていた。
そのため、大分から金沢大学附属図書館に連絡し、調査を行っていただいた結果、現物が金沢大学中央図書館書庫の駒井文庫にあることが確認された。日本最初の哲学書と称される『善の研究』の「初出」が、それが誕生した旧四高を前身とする金沢大学図書館で確認された意義は大きい。また、日本哲学や西田哲学の形成過程をより詳細に解明するための貴重資料でもある。
この企画は、2022年「西田幾多郎哲学講座」の第1回目を兼ねています。
日時:5月21日(土)13:30~15:30
テーマ:哲学館と西田哲学の20年—人間像と思索の変遷を辿る―
講師:石川県西田幾多郎記念哲学館館長浅見洋
受講をご希望の方は、住所・氏名(フリガナ)・電話番号を、葉書・電話・FAX・E-mailなどにて、お申し込みください。
各回受講:各講座の1ヶ月前から受付を開始します。
受講料:500円
日本エンドオブライフケア学会第5回学術集会の事前参加登録が開始になっています。
2022年4月13日
第5回学術集会
人権としてのエンドオブライフケア~End-of-Life Care for All~
- 日時:
- 2022年10月1日(土)・2日(日) WEBとのハイブリット開催
(オンデマンド配信 2022年9月28日(水)~10月31日(月))) - 会場:
- TFTビル東館
東京都江東区有明3-6-11